1971年に起きた渋谷暴動事件で警察官を殺害したなどとして、殺人などの罪に問われた過激派「中核派」の構成員・大坂正明被告(74)の公判が26日、東京地裁であった。弁護側が、殺人などには一切関与していないと改めて主張し、「起訴された五つの罪について完全に無罪だ」と述べて結審した。判決日は12月21日に指定された。
大坂被告も「(警察官を)殴ってもいないし、火炎瓶を投げてもいません」「無罪判決を求めます」などと話した。
弁護側は、事件直後の供述調書で「被告が殺害現場にいるのを見た」と説明したデモ参加者の中に、「検事の作文だった」「覚えていないことを話した」として証言を撤回した人が複数いると指摘。今も証言を維持している人も、内容に変遷や事実と異なる点などがあり、「信用できない」とした。
また、大人数が入り乱れて混乱し、極度の緊張状態にあったデモ参加者らが、被告を正確に認識できる状況ではなかった、とも主張した。
検察側は19日の公判で、無期懲役を求刑している。
起訴状などによると、大坂被告は71年11月14日、東京都渋谷区であった沖縄返還協定の批准に反対するデモに参加。他の学生らと共謀して、警察官3人に火炎瓶を投げてやけどを負わせたうえ、新潟県警から派遣されていた中村恒雄巡査(当時21)を鉄パイプで殴り、火炎瓶を投げつけて殺害したとされる。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル