東京・渋谷駅直結の渋谷スクランブルスクエアの15階。「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」の入り口の壁には、一面にボードが貼られている。
「ギャルマインドは世の中をアゲにできるのか」
「ゴミ拾いを21世紀の遊びにするには」
「文系学生でもスーパープログラマーになれるか」
200ほどの「問い」は、新たなアイデアや価値の出発点だ。イノベーター(変革者)をめざす20代の男女らが夢や志を記した。
午前9時の開館と同時に、コーヒーを片手にみなが集まってくる。パーカにジーンズといったラフな服装が多い。
15階のワンフロア2600平方メートル。代々木公園や高層ビルに臨むガラス張りの作業スペースには、壁がない。オンライン会議を始める人、ホワイトボードを囲んでミーティングする人。午後には本業を終えた会社員や学生の姿もある。50人以上が集まった。
「キューズに集まる多様な人たちが色々な交流をすることで、イノベーションが生まれてほしい」
コミュニティーマネジャーの星川和也さん(42)はそう話す。渋谷キューズは「可能性の交差点」を掲げる、起業や事業の成長をめざす共創の場だ。個人の月額利用料は原則2万7500円。企業や大学の支援も受けられる。
渋谷には1990年代後半からベンチャー企業が集まった。雑居ビルの小さなオフィスで切磋琢磨(せっさたくま)しながら羽ばたき、そうしたビルは「出世ビル」と呼ばれた。キューズはいま、それに負けない熱気を持つ。
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フロアの一角のUVプリンターで名刺のデザインを印刷している男性がいた。片山大地さん(31)。2022年の秋からキューズにやって来た。
名刺といっても紙ではない。電子タグが内蔵されたプラスチックのカード。スマホをかざすとプロフィルやSNSアカウントが表示されるデジタルの名刺だ。
片山さんが立てた「問い」を見せてもらった。
「あなただけの『捨てない名…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル