サウナと天然温泉が人気の日帰り温浴施設「じょんのび館」(新潟市西蒲区)が、浴槽の温泉水を張り替える頻度について事実と異なる掲示をしていたことがわかった。施設内の看板で「毎日」とアピールしていたが、ここ数年は2週間おきだったという。今月、注意不足だったとして看板を撤去した。
施設の温泉水からは3月、1年前に続いて基準を大幅に上回るレジオネラ属菌が検出された。施設はその都度対策を強化してきたが、衛生管理に対する姿勢そのものが問われそうだ。
「毎日張り替えております」と看板に表示
問題の看板は、2カ所ある内湯の全身浴槽それぞれの壁面に設置されていた。温泉の泉質や効能、加水のない源泉100%をアピールするとともに、浴槽内の温泉水(浴槽水)を「毎日張り替えております」として、新鮮さや清潔さを宣伝していた。
市から委託を受けて施設を管理する民間会社の親会社によると、看板は1993年の開業当初からあったとみられる。全身浴槽では当初、浴槽水を完全に抜き、槽内を清掃・消毒してから再び湯を張る張り替え作業が1日おきに行われていたが、2019年11月の同社参入後しばらくしてから、原則2週間おきに変更された。「人件費などのコストを考慮し、市の条例に合わせる形に見直した」(同社)という。
施設の浴槽水は、浴槽から浄化装置や加熱装置を通って循環する過程で消毒されている。条例ではこうした場合、浴槽水について「2週間に1回以上完全に取り換える」、浴槽については「2週間に1回以上清掃し、消毒すること」と定める。施設の対応は、条例が求める最低限のラインとなる。
パート従業員が指摘
看板を撤去したのは、基準超のレジオネラ属菌が検出され臨時休館中だった今月5日。同日の全体ミーティングでパート従業員から「あの看板は残したままでいいのか」と指摘されたためという。
同社は取材に「注意が足りなかったことにおわび申し上げます。今後は館内の掲示物に関しても見落としがないよう、一つ一つ確認してまいります」としている。
施設では22年3月、全身浴槽の浴槽水からそれぞれ基準の91倍、24倍のレジオネラ属菌が検出された。今年3月には、浴槽に入れる前の「原湯(げんとう)」から基準の140倍のレジオネラ属菌が検出されたほか、全身浴槽を含む3カ所の浴槽水も基準を超えた。
施設は、原湯の消毒レベルを引き上げるなどしたうえで今月9日、2週間ぶりに営業を再開した。(茂木克信)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル