温かいお風呂が恋しい季節となりました。何げない入浴も、ポイントを押さえると、より効果的に、安全に、楽しめます。
「入浴は、手軽で、優れた健康法です。積極的に、意識して入ってみてはいかがですか」。そう話すのは、東京都市大学の早坂信哉教授。「最高の入浴法」(大和書房)などの著書があり、温泉療法専門医と呼ばれるお風呂のスペシャリストだ。
早坂教授によれば、お風呂の代表的な効果が「温熱作用」という。体が温まると血管が広がって血液の流れがよくなる。すると、酸素や栄養分などが行き渡り、老廃物も回収されやすくなる。「温めると、痛みに対して過敏になった神経がほぐれる効果もあります。結果的に、慢性的な痛みが和らぎます」と早坂教授は言う。
ほかにも、水圧によって締め付けられることで血流が改善する「静水圧作用」、お風呂の中で浮く関節や筋肉の緊張が緩む「浮力作用」などが期待できるという。
こうした作用が総合的に働くことで、介護が必要になるリスクを減らす可能性もあるという。
早坂教授らの研究グループが、要介護認定を受けていない高齢者1万4千人弱を3年間にわたって追跡調査したところ、週7回入浴するグループは、週2回以下のグループに比べて3割程度、要介護認定を受ける人の割合が少なかったという。「睡眠の質が上がる。体の痛みが和らぎ、疲労も回復することで活動的になる。お風呂に入ることで得られる、こうした総合的な好循環が影響したと考えています」
ただ、気に留めて置くべきこともある。
「これからの季節は要注意です。11月から3月は、お風呂の事故が多い」と、「高齢者入浴アドバイザー協会」(東京都)代表理事の鈴木知明さん(58)は呼びかける。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル