湯船で本、マナーはOK 大阪の銭湯が「読書湯」の勧め

 「千鳥温泉の湯船で読書はいかが?」。大阪市此花区梅香2丁目の銭湯・千鳥温泉が、本を持参した入浴を呼びかけている。読書が好きで、自らも湯船で楽しむ店主が、その気持ちよさを知ってほしいと考えた。「マナーとして褒められることではないと知っています。だから、小声でひっそりPR。でも、本当に気持ちいいんですよ」

 店主は桂秀明さん(53)。会社勤めから脱サラし、2年半前に千鳥温泉の経営者になった。もともと大の銭湯好きで、銭湯を折り込んだまち歩きツアーを個人で主催するほど。住まいが近い千鳥温泉が後継者難から営業をやめると聞き、自ら引き継いだ。

 銭湯が好きだが、読書も好き。認めてくれそうな銭湯に狙いを定めて許可をもらい、いくつかの銭湯で持ち込んだ本を読ませてもらっていた。「家風呂と違って時間がたってもぬるくならない。熱くなったら水風呂に入ることもできます」

 その魅力を伝えたい。千鳥温泉を紹介するツイッターのハンドルネームに「読書湯」とも入れ、来客を呼びかける。雑誌や図書館の本、スマホや電子書籍での読書はダメ。紙のかけらが落ちるような古本もNG。ほかの客からお湯が飛んで本がぬれても文句は言わない。そんなルールでこれまでに数人が楽しみ、トラブルはないという。

 「でも、誤って本にお湯を飛ばしたお客さんに『申し訳ない』と感じさせるのは本当に申し訳ない。客足の悪い雨の日に来てもらえるとありがたいです」

 中学生以上450円、小学生150円、乳幼児60円。午後2時半~11時。火曜定休。(松尾由紀)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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