小川直樹
40人が死亡、3人が行方不明になった長崎県の雲仙・普賢岳の大火砕流から3日で30年を迎える。火口付近にドーム状に積み重なった溶岩は今も崩落の危険があり、大量に残された火山灰は土石流を引き起こす。ふもとを守るため国が進めてきた堰堤(えんてい)や導流堤など95の砂防施設の工事は、今年3月にすべて完成した。
1990年11月の噴火開始から「終息宣言」までの5年半で発生した火砕流は9432回。このうち最悪の犠牲者を出したのが91年6月3日の大火砕流だ。
数百度の火山灰や岩塊、ガスが高速で山腹を駆け下り、消防団員や報道関係者らを巻き込んだ。ふもとの撮影ポイント「定点」では今年、火山灰に埋もれた車両3台が掘り起こされ、災害遺構として整備された。
2日夜、雲仙岳災害記念館前では犠牲者を悼むキャンドル1千個がともされた。3日は島原市主催の犠牲者追悼式が開かれ、遺族は自衛隊のヘリコプターで上空から慰霊する予定。(小川直樹)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル