滋賀県草津市の名神高速道路で大型観光バスがワゴン車に追突し17人が死傷した玉突き事故で、自動車運転処罰法違反(過失致傷)容疑で現行犯逮捕されたバスの運転手、鈴木武容疑者(52)=大阪府八尾市堤町=が、「脇見運転をしていた」という趣旨の供述をしていることが25日、滋賀県警への取材で分かった。県警は鈴木容疑者の前方不注意が事故の原因とみて調べている。
事故は24日夕、草津パーキングエリア近くの上り線で発生。バスが渋滞の最後尾のワゴン車に追突し、前の軽乗用車と乗用車も玉突きとなった。ワゴン車に乗っていた奈良県大和高田市の会社員、仲本佳子さん(58)が死亡。孫で同市の小学1年、尾崎綾音さん(7)が意識不明の重体となるなどした。
ワゴン車は定員10人で、9歳以下の子供8人を含む12人が乗車していた。法令では12歳未満の子供1・5人が12歳以上の1人に相当とされるため、この場合は「定員外乗車(定員オーバー)」にはならないという。一方、シートベルトは定員分しかないため、不足分の着用義務は免除される。
県警によると事故当時、仲本さんと尾崎さんの2人は車外に投げ出されていた。県警は、2人はシートベルトを着用していなかった可能性が高いとみて調べている。また、県警は衝突場所の約30メートル手前から急ブレーキでできたとみられるタイヤ痕を確認。鈴木容疑者が追突を回避しようと直前にハンドルを右に切ったが間に合わず、左前部をワゴン車の後部に衝突させた可能性がある。県警は、鈴木容疑者がカーナビや道路の標識などに気をとられ、前方への注意がおろそかになった可能性があるとみて、事故当時の詳しい状況を調べている。
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鈴木武容疑者が所属するバス運行会社「ワールドキャビン」(本社・東京都新宿区)は25日、大阪府八尾市内の営業所で報道各社の取材に応じ、中嶋湯紀夫本社本部長が「重大な事故を起こしたことを心よりおわび申し上げたい」と謝罪した。
同社によると、鈴木容疑者には運転に支障があるような持病はなく、バスの速度違反などを感知する同社のシステムでは異常は確認できなかった。鈴木容疑者の5月の月間労働時間は法定内で、乗務歴は他社も含め18年で、近年は事故や違反もなかったという。
同社によると、鈴木容疑者が運転するバスは24日朝に八尾市内の営業所を出発。中国人観光客30人を乗せて奈良、京都の観光地を巡り、愛知県蒲郡市内の宿泊先に向かう途中で事故を起こした。鈴木容疑者は事故直後、電話で「大変な事故があった」と報告。同社は乗客らの救護や安全確保を指示したという。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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