漫画「ギャルと恐竜」がアニメと実写版で放送…作者の森もり子、トミムラコタ夫妻「浮かれすぎないようにしなきゃ」(スポーツ報知)

 青年漫画誌「週刊ヤングマガジン」に連載中で、ひょんなことから同居することになったギャルと恐竜の、ほのぼのとした生活を描いた「ギャルと恐竜」(講談社)が話題となっている。2月に第3巻が発売され、連載開始から約1年半という異例の早さで、4月からアニメと実写での映像化が決定している。同書は、夫婦で手がけている人気作。夫で原作担当の森もり子さん、妻で作画担当のトミムラコタさんに話を聞いた。(奥津 友希乃)

 「ギャルと恐竜」は、ギャルの楓が酒に酔った勢いで、恐竜を部屋に招き入れたことから始まる、不思議な同居生活を描いている。

 恐竜は名前もなければ、言葉も持たない。とがった歯もなく、全体的に丸みを帯びた愛らしいフォルムが特徴だ。一方の楓は、恐竜との同居を「まぁいっか」と楽観的に受け入れ、昔からの知り合いのような軽いノリで恐竜と接する。

 約6600万年前に絶滅した恐竜と、令和の時代に絶滅が危惧されるギャルという、特異ともいえるキャラクターをなぜ登場人物として描いたのか。

 トミムラ(以下、ト)「恐竜は、5年前くらいにLINEのスタンプを作ろうと思って、落書きしていた時に生まれたキャラクター。恐竜マニアというわけでもないけど、手癖でよく恐竜と鳥の間のようなキャラを描いていました」

 森「妻が描く恐竜を使って漫画を描きたいと思ったのが始まり。たまたま、恐竜と女の子が一緒にいるイラストを描いたら、しっくり来て。女の子がギャルだったら、組み合わせ的にも面白いんじゃない?という流れで決めましたね」

 恐竜の豊かな表情や、ちょっとしたしぐさに読者がくぎ付けになるのは、恐竜が言葉を持たないことが大きい。

 森「実は、最初の叩き台の時点では、人間と同じように、恐竜はしゃべるという構想だったんです」

 ト「でも、担当編集さんに『しゃべらない方がいい』とアドバイスを受けて。納得して、すぐに『じゃあ、声帯潰します』と(笑い)。しゃべらないので、セリフや吹き出しがないから、恐竜の表情や反応を見せるコマがある。それによって生まれる『間』が特徴というか、この作品の味になっています」

 作画を妻のトミムラさん、原作を夫の森さんが担当。恐竜が一人で出かけてスターバックスの新作を飲んだり、タクシーに乗ったと思えば、お金がかかることに驚がくしたりと、クスッと笑えるエピソードがちりばめられている。作中では、恐竜の存在をギャルだけではなく、登場人物全員が当たり前のように受け入れ、恐竜は人間社会に溶け込んでいる。

 ト「森からは『生活を肯定する』というキーワードをよく聞いています。作品全ページを通して、恐竜がやったことに対する周りのリアクションやセリフに、誰かを傷つけるような表現がない。言葉選び一つとっても、互いの存在や生活を肯定することがベースにあります」

 森さんは、自作のLINEスタンプでブレイク、トミムラさんは、実父の仰天エピソードを漫画にしたツイートが話題となり、ともにSNSで人気を博していた。2017年から交際を始め、共作の漫画をツイッターに投稿するなど、3年ほど前からタッグを組んでいる。

 森「最初は、仕事は関係なく、完全プライベートで出会った。一緒にいる時間が増えて、ネームや絵での悩みをお互い相談していくうちに、共作で漫画を描くようになって。講談社の漫画投稿サイトに、『ギャルと恐竜』の原型となる恐竜の漫画を出したことがきっかけで、18年に連載が決まり、その年に結婚しました」

 ビジネスとしてだけでなく、日常を共にするパートナーとして、長女と、ウサギ1匹とで生活を送る。

 ト「実生活も、作品に通ずるようなところはあると思います。机を隣に並べ、いつも一緒に作業していますが、けんかになるようなことはない。ギャルと恐竜のように、お互いを否定することはないし、仲良く楽しくという感じです」

 1~3巻の発行部数は累計11万部に上り、4月からは、TOKYO MXなどでアニメと実写版が放送される。18年にヤンマガで連載を開始してから、約1年半という異例のスピードで映像化される。

 森「決まった時は、すごくうれしかった。映像をきっかけに、漫画の読者を増やすチャンスにもなる。でも浮かれすぎないようにしなきゃなと(笑い)」

 既に夫婦共作での新たな作品も想像している。

 森「『ギャルと恐竜』を通して、2人で問題なく漫画を作れるということも分かった。最近は、学園モノの、青春ドラマのような作品にも挑戦してみたいとよく話しています」

 ト「でも、まずは『ギャルと恐竜』を、たくさんの人から長く愛してもらえる作品にすることが第一です」

 ◆森 もり子(もり・もりこ)福岡県生まれ。「ギャルと恐竜」(講談社)原作担当。2014年に発売したLINEスタンプ「もっと私にかまってよ!」が話題に。著書に「さよなら、ハイスクール」(16年、秋田書店)など。

 ◆トミムラ コタ(とみむら・こた)沖縄県生まれ。「ギャルと恐竜」作画担当。ツイッターに掲載した漫画「実録!父さん伝説」が話題となり、2016年に単行本化される。他の著書に「僕たちLGBT」(17年、集英社)など。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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