昨年10月の台風19号で千曲川の堤防が決壊した長野市に、濁流の直撃を受けながら直接の犠牲者が出なかった地区がある。1人の女性が、住民同士で声をかけ合い、早めに避難を終わらせる地区独自のルールをつくっていた。浸水被害から1年。命を救った避難方法に、少しずつ注目が集まり始めている。
昨年10月13日に決壊した堤防から数十メートルしか離れていない長野市津野。2メートルの濁流に丸ごとのみ込まれ、当時、約90世帯250人が暮らしていた家屋すべてが全壊判定を受けた。
台風が日本列島に上陸する直前の12日夕、地区内唯一の民生委員を務める笹井真澄さん(68)の自宅に、副区長がかけこんできた。「深夜に千曲川が越水するかもしれない」。笹井さんはすぐに、用意してあった名簿と地図を取り出して1軒ずつ電話をかけ始めた。
「なんとか逃げてね」
何度も念を押し、さらにこう伝えた。「お隣が車で迎えに来てくれるから」
あらかじめ、隣近所や仲のいい…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル