新型コロナウイルス感染者と濃厚接触した疑いがあっても、自宅待機や検査などの制限を守らずに、職場に出勤し続けた人たちがいる。同僚や客らに迷惑がかかるので休みにくかったという。感染症の専門家は、職場でのクラスター(感染者集団)発生やリバウンド(感染再拡大)の危険性を指摘する。(市原研吾、宮崎亮)
「リーダーがリスク自覚を」 リバウンドの懸念も
濃厚接触者は、待機期間が段階的に短縮され、第6波のオミクロン流行中は職場での特定が不要とされた。感染症内科医の岩田健太郎・神戸大教授は「欠勤者が相次ぐと経営や社会活動が回らないので、濃厚接触者への制限を徐々に緩めるのはやむを得ない面もあり、どこで線引きするかは難しい」と話す。
その上で、「科学的な根拠なしに勝手に待機期間をゆるゆるにすると、周囲の多くの人の健康に影響しかねない」と強調する。
職場での感染拡大の危険性に加え、「経営面でも強烈なしっぺ返しを食らうおそれがある」と話す。職場や取引先でクラスターが発生した場合の業績やイメージの悪化と、一時的に休んだマイナスでは比較にならないと指摘。そのリスクを上司や元請け業者らと話し合い、濃厚接触者となれば待機すると約束しておくことが必要だという。
特に自営業や中小企業で働く人たちが休めるように、「部下や下請けに『今回はおれの顔を立ててくれ』とその場しのぎで頼むことがないよう、まずリーダーがリスクを自覚して変わるべきだ」と指摘する。一方、働く側に対しては「同居の人以外とは食事を共にしないなど、同僚が感染しても濃厚接触者とならない自衛が大切」と求めた。
元請けの社長「症状ないなら……」
大阪府内の内装業の40代男性は第6波の1月、現場で一緒だった仕事仲間から「体の節々が痛い」と聞いた。この仲間は病院で検査し陽性と判明した。
休憩中に会話し、お茶を飲んでいる間はマスクを外していた。男性は無症状だったが、「濃厚接触者にあたるかもしれない」と不安になった。
職場では何も聞かれなかった…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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