文・木下広大、写真・金居達朗
クリームソーダの鮮やかな緑の先に青い海が広がる。ここは四国のオアシス。ドライバーの疲れも泡のようにはじけて消える。
打ち放しのコンクリートが古びた様は、まるで要塞(ようさい)のようだ。中に入って目を見開いた。ガラス窓一面に、瀬戸内海のマリンブルーが広がっている。
ドライブイン「大川オアシス」(香川県さぬき市)は、高松市と徳島市を結ぶ国道11号沿いにある。喫茶の区画は淡い青色で統一され、球体の照明は夕日のようなオレンジ色。カウンターは潜水艦をほうふつとさせる。窓際のボックス席でクリームソーダを注文すれば、爽やかな緑色と背景の海色とのコントラストが映える。
東京五輪があった1964年の開業。聖火リレー走者が真新しい建物の前を駆け抜けた。開業のきっかけは、運営会社の親会社である大川バスの専務が、米サンフランシスコで見たドライブインに触発されたこと。内装が米国のダイナー風なのはそのためだ。
開業時から四国を車で移動する人の休憩所として繁盛した。88年に瀬戸大橋が開通してからは本州からの旅行者も増え、1日に100台超の大型バスが入れ代わり訪れる日もあった。
しかし、良い時代は長く続かなかった。香川―徳島間に高速道路が通ると、客足は激減。建物内の宴会場の収入などでなんとか営業を続けてきた。
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「もう潮時かと思っていた」…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル