灘中不合格、でも「うらやましい」 伴走した父が見せたかった景色

 「灘コースに来ませんか?」

 40代の会社員の男性宅に、子どもが通う中学受験塾から電話がかかってきたのは2020年の初夏。息子が小学5年のときだった。

 西日本一の難関校・灘中を目指すクラスに移って以降、男性はいっそう我が子に寄り添い、ともに努力を重ねた。しかし、現在は中学2年になった我が子が通うのは、灘中ではない。

 共働きのサラリーマン世帯で、夫婦ともに中学受験の経験はなかった。ユーチューブを見たりゲームをしたりしてばかりの息子を見かねた妻が、「何か熱中できることを」と息子を塾に入れた。3年の3学期のことだ。

 勉強のことはしばらくは妻にお任せだった。息子は自ら進んで勉強するタイプだったわけではない。宿題はやるものの、テストで間違えた問題を解き直すことはなかった。

 5年にあがる直前の3月、コロナ禍で学校が休校に。塾も授業がなくなった。コロナの影響で仕事に余裕ができた男性は、初めて子どもの勉強に関心が向くようになった。

 「灘中」の存在を知ったのもこのころだ。

 西日本最難関の中学だという。難しいことに立ち向かうことを知ってほしい。「灘コースを目指そう」と息子を誘った。

 記事後半では、受験日までの親子の軌跡と、受験を終えた今の「課題」を紹介しています。「きょうこ先生」の愛称で知られるプロ家庭教師の安浪京子さんに、受験に伴走する親が注意すべき点についても聞きました。

勉強のための「環境」を整備

 誘った手前、勉強の伴走を男…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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