東日本大震災の被災者向けに整備された災害公営住宅(復興住宅)のうち岩手、宮城、福島3県の22市町村で、10年後には2割近くが空き室になる見通しであることが、朝日新聞の調査でわかった。災害公営住宅の維持管理費を賃料収入などで賄ってきた市町村からは、財政負担が増すことへの懸念の声があがる。
調査は昨年12月~今年2月、津波の被害を受けた沿岸部と原発事故で避難指示が出た3県の計42市町村にアンケートし、すべてから回答を得た。
集計や取材によると、災害公営住宅(県営を含む)は42市町村に計2万6813戸あり、現時点では6・9%にあたる1841戸が空き室になっている。国土交通省の調べでは、2018年度末の一般の公営住宅の全国の空室率は2・1%(1年以上空き室になっているものの割合)にとどまり、被災地の空室率の高さが際立つ。
10年後の31年の見通しも尋ねたところ、22市町村が回答。空室率は17・9%に急増した。空室率が3割以上になる、と答えた市町村も6あった。42市町村のうち60%が、今後の空き室増を「懸念している」「やや懸念している」と答えた。将来的な維持管理費の負担増を懸念しているかについても、76%が「懸念している」「やや懸念している」と答えた。
空き室が増えるのは、完成するまでに意向が変わって入居を取りやめる人が相次いだことに加え、想定以上に人口減が進み、高齢の入居者が亡くなったり介護施設に移ったりして退去した後、新たに入居する人が少ないためだ。災害公営住宅の入居者のうち65歳以上の割合は45%となり、内陸部を含めた3県全体での高齢化率31%を大きく上回っている。
空き室対策として、市町村は、…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル