災害時に行政がおこなう住宅の被害認定調査について、内閣府は、損害保険会社など民間の調査を活用できないか検討を始めた。行政の調査は被災者が生活再建などの公的支援を受けるために必須だが、調査に時間がかかることが課題になっている。年度内にも方針をまとめる。
災害時に市区町村は住民からの申請を受け、「全壊」「半壊」など、住まいがどれくらいの被害を受けたか調べ、その結果を踏まえて罹災(りさい)証明書を発行する。被災者は、罹災証明書で認められた被害程度に応じた公的支援を受けられる。調査は主に自治体職員が担うが、災害のたびに調査や証明書の発行遅れが問題視されてきた。
一方、行政の調査とは別に、住民が任意で加入する地震保険などについて、保険金支払いのために必要な調査を損保会社が実施する。内閣府は、両者の調査業務が似ていると考え、損保会社に白羽の矢を立てた。具体的には、保険金支払いのために得た調査データを自治体に提供してもらうことを想定。調査スピードを上げて、すみやかな生活再建につなげるねらいがある。ほかに家屋のリフォームで被害を調べる住宅メーカーなどからの協力も得られないか検討しているという。
内閣府は今後、行政と民間で被害の認定基準にどのような違いがあるのか調べる。損保会社などと協力関係を結ぶのは自治体となるため、年度中に自治体向けの手引をまとめる方針だ。
調査や罹災証明書の遅れ、これまでも課題に
生活再建の第一歩となる罹災(りさい)証明書の発行の遅れはたびたび問題になってきた。国は被災1カ月以内の発行を目標としているが、2016年の熊本地震で被災した熊本、大分両県の7市町村を総務省が調べたところ、4自治体が交付開始に1カ月以上かかった。
発行に必要な被害認定調査は…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル