無意識の差別、見えていますか ジェンダーギャップ指数の陰で

 今年、ジェンダーギャップ指数の日本の順位は116位だった。さまざまな分野の男女格差が可視化されたが、男女を比べることは実態を映し出すのか。見えていないものはないか。

「偶然じゃいけない」足りない権利の視点 染矢明日香さん(NPO法人ピルコン理事長)

 ジェンダーギャップ指数を見ると、日本では「健康」が「政治」「経済」に比べて高い順位になっています。ですが、「自分の身体のことを自分で決める」という女性の健康についての権利の面で、日本はあまりにも遅れている。こうした遅れは、男女を比較しても見えてきません。

 4年前から緊急避妊薬の薬局販売を求める活動をしています。この薬は90を超える国では薬局で購入できて、価格は数百円から高くても5千円程度です。ところが日本は処方箋(せん)が必要で、価格も6千~2万円。特に地方では婦人科が近くになく、入手しづらいという声もあります。性交後できるだけ早い服用が効果的で、72時間以内に飲む必要があるのに、必要な時にすぐに手に入らないのです。

 WHO(世界保健機関)は、緊急避妊薬へのアクセスを含めた「性と生殖に関する健康と権利」は生まれながらにして誰もが持つ権利としています。また、入手しやすくなってもリスクの高い性行動は増えないと結論づけています。ところがグローバルスタンダードを指摘すると、「日本には日本の事情がある」と言われることがあります。でも、そのために日本の女性たちが困難を抱えていいのでしょうか。日本に生まれたことで苦しい思いを強いられるのは不条理です。

男女格差を可視化したジェンダーギャップ指数とどう向き合うか。記事後半では、「働き方の男女不平等」などの著書がある山口一男・シカゴ大教授が「統計の使い方を誤ると新たな差別を生む」と指摘します。江藤祥平・一橋大准教授は、社会における「ささいな差別」と75年前にできた憲法24条の一部には共犯関係が見られると指摘、統計に表れない差別の構造について語ります。

 以前、偶然が重なって緊急避…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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