伊藤稔
徳島市の阿波踊りは15日、グランドフィナーレが無観客のワークスタッフ陸上競技場で開かれた。新型コロナウイルス対策のため、規模を縮小して開かれた祭りは、4日間の日程を予定通り終えた。
グランドフィナーレには、阿波おどり振興協会15連と学生連を含む一般連5連の計20連が参加。徳島文理大学連を皮切りに、各連はメインスタンド前のトラックで次々と流し踊りを披露した。最後は有名連が一斉に踊る総踊りが披露された。
2年ぶりの開催に、参加者は踊れる喜びと感謝を口にした。徳島文理大4年の奥田啓太さん(21)は「学生生活最後の阿波踊り。こんな形で踊れてとても光栄です」。一般連はこの日限りの参加となり、無作連の前川たかまさ連長(37)は「1日だけでも踊れる機会をいただけてありがたい。この状況が改善されることを心から願っている。元通り楽しく踊れれば」と期待を込めた。
今夏の阿波踊りは新型コロナ感染拡大の影響を受け、市は有料演舞場の開催を断念。屋内会場を中心とするなど異例の開催となった。阿波おどり振興協会の山田実理事長(68)は祭りを終え、「感無量です。今やれるところを精いっぱい踊り子たちとやり、一般連も参加し絆を深めることができた」と振り返った。
これまでの実行委に代わり、主催を担った徳島市の内藤佐和子市長は「やり切った。コロナ下でのチャレンジは成功したと思う。どういう状況になっても、それに応じた阿波踊りを考えていかないといけない。阿波踊りを次につなげていくことを毎年積み上げていきたい」と話した。
阿波踊りは、この5年間ほど運営体制が安定しない状態が続いており、市は来年以降の新たな体制について検討委員会で議論を続けている。新型コロナの収束が見通せないなか、運営方法や安定的な体制をどう築くのか、課題は多い。(伊藤稔)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment