三重県南部の熊野灘に面した入り江に、中部電力が建設しようとした芦浜原子力発電所。その計画が白紙撤回されてから20年の節目に合わせ、反対を貫き通した夫婦の生き様を描いたドキュメンタリー映画が完成した。「原発夫婦」のタイトルで、24日に津市で初上映される。
三重県南伊勢町古和浦地区の民家の玄関には「原発反対の家」と書かれたステッカーが貼られている。映画に出演した小倉紀子さん(78)は、この家に一人で暮らす。反対運動の中心だった夫の正巳さんは、映画撮影途中の昨年2月に79歳で亡くなった。
原発の建設計画が持ち上がったのが1963年。南伊勢町と大紀町にまたがる地域が予定地となり、芦浜周辺に漁業権を持つ古和浦地区を中心に反対運動が繰り広げられた。地区は、地域振興を求める推進派との間で民意が割れた。計画は当時の北川正恭知事が2000年2月22日に白紙撤回を求めたことで、中電が断念。だが、20年たった今も地区には「傷痕」が残る。
拡大する小倉紀子さん宅の玄関に貼られた「原発反対の家」のステッカー=2019年7月19日、三重県南伊勢町古和浦
2年ほど前、原発建設計画に翻…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル