焼け焦げた「輪島朝市」に冷たい雨 「食べ物どこに」食料不足深刻化

【動画】輪島市の「朝市通り」周辺では、雨が降る中煙がくすぶり続けていた=小林一茂撮影

 地震から3日目の早朝。200棟以上が焼けた石川県輪島市河井町の「輪島朝市」では、冷たい雨の中、まだ火がくすぶり続けていた。

 朝市通りを歩いていた女性は、通りでスーパーを経営していた。焼け焦げた街並みをみて「まるで映画の戦場のよう。本当にこれからどうするのか」と話した。

 能登半島地震の被災地では、早くも食料や物資不足が深刻化している。

 輪島市河井町の航空自衛隊輪島分屯基地には、約20人の住民が門の前に集まっていた。隊員から促されると、高齢者や親子連れが一斉に施設の中に入り、毛布やマットを次々と運び出していった。

 隊員によると、基地は避難所に物資を配るための中継地。本来配布の場所ではないため、避難所に配る食料品などとは別に、基地に元々あった毛布やマットを提供したという。訪れた女性は「周りのうわさを聞いてここに来た。避難所には食べ物が全然なく、どこに物資があるのかもっとわかりやすく教えてほしい」と嘆いていた。

 食べ物不足を解消しようと、地元住民による炊き出しも行われている。

 輪島市河井町の重蔵(じゅうぞう)神社の禰宜(ねぎ)、能門亜由子さんは近隣住民と協力し、神社に備蓄している米でおにぎりを作った。自宅前のテントでは、地元の中学生ができたばかりの温かなおにぎりをほおばっていた。神社は損壊したが、米を保存している貯蔵庫は無事で何とか取り出せたという。

 能門さんは、神社のSNSや知り合いを通して炊き出しの情報を発信している。「過去の水害でも、祖先は炊き出しをしていた。日頃みなさんに助けてもらっているから、お互い様です」と話していた。(小林一茂)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment