屋代良樹
同級生からいじめを受けて2018年に自殺した熊本県立高校3年の生徒の遺族が28日、当時の同級生4人を相手取り、慰謝料などの損害賠償を求めて熊本地裁に提訴した。遺族への取材でわかった。遺族は「加害者に自分たちがしたことの重さを理解して反省してほしい」と話している。
自殺したのは、熊本県北部の県立高校に通っていた深草知華(ともか)さん(当時17)。18年5月、学校を午前中に早退し、数時間後に自宅で意識を失っているところを発見され、翌日に亡くなった。
事実関係を調査した県教育委員会の第三者機関「県いじめ防止対策審議会」が19年3月に公表した最終報告書によると、知華さんはSNSのインスタグラムに投稿された動画をめぐり、授業中に複数の同級生から「死ねばいい」「視界から消えればいいのに」といった発言を受けた。知華さんはその日の午前中に早退。第三者機関は「心理的苦痛が増幅したことは想像に難くない」として同級生の発言など5件をいじめと認め、「自死に影響を与えた」と因果関係も認定した。
学校の対応については、知事の付属機関「県いじめ調査委員会」が昨年4月、「(担任教諭は)事情把握などの努力をすべきだった」などと指摘する調査報告書をまとめている。
知華さんの両親によると、知華さんの携帯電話にあったメッセージのやりとりや生徒への聞き取りなどから、同級生6人がいじめに関わっていたと判断。中心的な役割を果たしていたとして4人に対し、知華さんへの名誉毀損(きそん)や、精神的苦痛を訴え、慰謝料など計1100万円の損害賠償を求めている。
両親は「娘が生きていたこと、いじめで追い詰められて亡くなったことを知ってほしい」として、知華さんの名前と写真を公開している。母親の志乃さんは取材に、「知華は言葉という凶器によって心を殺された。3年経っても毎日のように気持ちが揺れている。加害者たちに自分たちの思いを伝えたい」と話した。(屋代良樹)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル