災害関連死を含む275人が犠牲になった熊本地震。本震から、4月16日で4年を迎える。暮らしを立て直しつつある被災地にも、新型コロナウイルスの影が押し寄せている。仮設住宅を出た後の被災者の孤立は、過去の災害でも深刻な問題となっている。だがコロナの感染拡大で、被災者たちをつなぐコミュニケーションの場が一気に失われた。「被災者の生活が大きく変わろうとしているフェーズで、二つ目の災害に襲われた感じ」。ある支援者は危機感を募らせる。
自死リスクあっても訪問できず「手立てない」
「会いにいくことが逆に被災者を不安にさせてしまう。うつ状態やアルコール依存症で自死リスクの高い人たちを見守りたくても、手立てが見つかりません」
そう嘆くのは、一般社団法人「minori」代表の高木聡史さん(52)。団体は、甚大な被害が出た熊本県益城町で、自治体が民間賃貸住宅を借り上げて被災者に提供する「みなし仮設住宅」に入居した人たちを4年間支援している。ピーク時には約1600世帯の生活再建や健康状態の調査などを実施。シングルマザーや高齢者、障害者のいる世帯などを中心にサポートを続けている。
「志村けんさんが亡くなった(3月29日)後から、連絡が途絶える人が一気に増えました。感染の不安から自宅を訪ねてほしくない。訪問を断ることをためらうのか、電話にも出てもらえなくなってしまいました」
仮住まいからやっと脱出。その矢先で・・・
阪神淡路大震災や東日本大震災などの被災地では、仮設住宅を退去した後の被災者の自死や孤独死が深刻な問題になっている。東北3県では、200人以上が災害公営住宅で孤独死した。こうした教訓から、高木さんたちも交流会や文化祭などのイベントを企画し、被災者同士が互いに見守り合うコミュニティー作りに力を注いできた。
「この春に災害公営住宅の完成がピークを迎え、たくさんの人がみなし仮設住宅から新居にやっと移れます。自治会を組織するなど、この先お互いを支え合う関係を築く重要な時期です。なのに、コロナで交流会やサークル活動は全て白紙になりました。終息が長引けば、人と会わず孤立を深める人はどんどん増えてしまいます」
熊本県は県内12市町村で計1715戸の災害公営住宅の整備を計画。3月末までに全戸の整備を完了した。最多の671戸を保有する益城町も3月に完成のピークを迎え、多くの被災者が応急仮設やみなし仮設などの仮住まいから新しい暮らしに踏み出すタイミングだった。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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