熊本豪雨の記憶、奏で継ぐ 被災の「希望のピアノ」復活の調べ

 2年前の熊本豪雨球磨川の濁流にのみ込まれ、廃棄するしかないと思われた小学校のピアノが昨年、関西のボランティアらの支援で奇跡的に復活し、災害の記憶を奏で継いでいる。このピアノが今月、大阪・堺市で開かれるコンサートで、東日本大震災の津波被害から復活したピアノと「競演」する。

 8月29日、熊本県球磨村の一勝地小学校体育館で、小さなコンサートが開かれた。中央には「希望のピアノ」と名付けられたピアノ。一勝地小、渡小、球磨中の地元3校の児童生徒約170人が囲むと、同県人吉市出身のピアニスト有島京(みやこ)さんがショパンの「雨だれ」など3曲を演奏した。9歳からピアノを学ぶという渡小6年の鵜口類斗さん(11)は「音色が全然違った」と声を弾ませた。

 希望のピアノは、もともと渡小体育館にあった。豪雨で浸水し、14人が亡くなった特別養護老人ホーム千寿園の隣にあった渡小にも濁流が襲いかかった。水が引いたとき、ピアノは泥にまみれ、横倒しになっていた。

 学校そのものを移転せざるを得ない中、「ピアノは廃棄するしかない」と学校関係者はあきらめかけた。

 だが、兵庫県尼崎市から訪れ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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