熱を帯びる鬼たち 「音楽浴び踊るクラブシーン」に心奪われた

 愛知県東栄町月地区の花祭(はなまつり)は、11月22日の夕方に舞いが始まり、翌日まで続いた。23日の昼過ぎ。舞子は去り、観客もほとんどいなくなった会場の一角で、締めくくりとなる神事が行われようとしていた。

 ゆったりとしたテンポの笛と太鼓の音に合わせて、祭りをつかさどる「花太夫(はなだゆう)」の森下尚浩さん(46)が鬼の面をつけ、印を結び、舞う。

「花を頼むぞ」と言われて育ったが・・・

 月地区では花太夫は地元にある槻(つき)神社の神主が務め、代々の世襲。森下さんは祖父や父から「花を頼むぞ」と言われて育った。でも、森下さんは東京生まれ。小学6年生で愛知県岡崎市に引っ越してきたものの、花祭は身近ではなかった。

愛知県の山深い奥三河地方の集落に700年以上前から伝わるとされる「花祭」。過疎による担い手不足やコロナ禍を乗り越えて、祭りを守り伝える人たちの姿を伝えます。

 父の秀郷さんが病気になったのを機に会社員をやめ、15年前に神主の資格を取得。秀郷さんについて学び、父が亡くなると、花太夫を務めることになった。大役を果たせるのかという不安もあったが、「やるだけやらせてもらおう」と思い直した。

 祖父や父が残してくれたノートやビデオを見ながら、印の結び方や呪文を覚え、舞いの練習をした。

 この日、すべての神事を終えた森下さんは「気持ちが張り詰めていたので、すっと力が抜けた」と、ほっとした表情になった。

 いまも岡崎に住む森下さんか…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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