今年も熱中症が心配される季節を迎えました。環境省は暑さに強い体をつくる暑熱順化(しょねつじゅんか)を推奨しています。
なぜ暑熱順化は熱中症のリスクを減らすのでしょうか。どうしたら暑さに強い体を作れるのでしょうか。
2週間でできる「暑熱順化」
環境省は「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる程度の運動(ウォーキングなど)を毎日30分ほど続けると、暑熱順化が約2週間で完成するとしています。なぜ暑熱順化で夏の暑さに強くなるのでしょうか。
「環境省の報告書によると、暑熱順化した体は、(1)発汗量が増え、(2)汗に含まれる塩分濃度が低下し、(3)皮膚血管が拡張し、(4)循環血液量も増加する、という4つの効果をあげています」と言うのは、横浜相原病院(横浜市瀬谷区)の吉田勝明院長です。
なぜ発汗量が増えたり、汗の塩分濃度が低下すると、暑さに強い体になるのでしょうか。
体温上昇を防ぐメカニズム
「運動を続けていると、さほど体温が上昇しなくても汗をかきやすくなります。汗をかけば皮膚の表面から気化熱が奪われるため、体温の上昇を防げます。熱中症は体温が上昇することで起こりますから、汗をかきやすくなれば熱中症になりにくくなるのです」(吉田院長)
では、汗に含まれる塩分濃度が低下すると、なぜ熱中症になりにくくなるのでしょうか。
「暑熱順化すると、暑熱順化する以前に比べて汗に含まれるナトリウムイオン濃度が30~40%低下することが観察されています。血液中のナトリウムなどミネラルが汗と一緒に大量に排出されると、ケイレンや意識障害など熱中症特有の症状がでるので、汗に含まれる塩分濃度が下がれば熱中症になるリスクも低下するのです」(吉田院長)
体のラジエター機能を高める
環境省の報告書には、皮膚血管が拡張し、循環血液量が増加すると、暑さに強い体になるそうですが、それはなぜでしょうか。
「暑熱順化すると、体温がそれほど上昇しなくても皮膚血管が拡張し、放熱しやすくなります。また、報告書によると循環血液量が約10%増加するため、運動機能を向上させるとともに体内の熱の放出を促します。暑熱順化は、いわば人体のラジエター(放熱器)機能を高め、暑さに強い体になるというのです」(吉田院長)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース