2021年7月に静岡県熱海市で発生した大規模土石流の起点とされる盛り土は、どこから持ち込まれたのか。どんな仕組みで崩落したのか――。静岡大学防災総合センター長の北村晃寿教授(60)=地質学=らのグループは発生直後から現地に入り、学術的な観点から研究を続けている。現場に残っていた土砂などの分析から、どんなことが分かってきたのか。
記録的な大雨に伴う熱海市の土石流災害は21年7月3日に発生。災害関連死を含めて27人が死亡し、1人が行方不明になっている。県によると、土石流発生前に盛り土は7万立方メートル以上あったとされる。
北村教授らは土石流が流れた逢初(あいぞめ)川上流部に残った盛り土や土石流から土砂を採取。含まれていた貝殻や化石、堆積(たいせき)岩(チャート)などを調べ、どこから持ち込まれたのかを探った。その結果、熱海市に近い神奈川県小田原市や相模湾の海岸など、同県中部から西部の地域が浮上した。
まず、土砂から見つかったマガキの仲間の貝殻について放射性炭素年代を測定し、約7500年前のものと判断した。この年代で同じ種類の貝殻が見つかる地層があるうえ、1990~2000年代に工業団地や宅地造成で土が採られたことを根拠に、「①小田原市の中村川下流域の可能性が高い」と分析した。
土砂の出どころは複数箇所の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル