蛇口をひねると、温泉がヒノキの風呂に注がれた。
熱海の市街地で200年以上続く老舗「古屋旅館」が客室を改装してつくった「室内露天風呂」付きの部屋。17代目当主の内田宗一郎さん(49)は「コロナ禍で客室風呂への需要が高まった。伝統を守りながら、時代に沿った変化をしていきたい」と話す。
客室数は26。2021年に離れ棟の4室、昨秋は本館の6室を「露天風呂」を備えた客室に改修した。
部屋にいながら、同館が単独所有する名湯で熱海七湯の一つ「清左衛門(せいざえもん)の湯」の源泉かけ流しの風呂を楽しむことができる。稼働率が9割を超えるなど好評だ。
創業200年超の宿が打ち出し続けた新戦略
新型コロナウイルスの影響で、熱海では予約のキャンセルが相次いだ。熱海市によると、2020年度の宿泊客数は149万人で、コロナ禍以前の19年度比で約50%も減少。記録が残る1958年度以降で最少に落ち込んだ。同館も20年は19年比で3割ほど減少したという。そんな中でも、内田さんは新戦略を打ち出し続けてきた。
20年夏には旅館業の人材確…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル