床並浩一
静岡県熱海市で昨年7月に起きた土石流災害をめぐり、県は11日、起点付近で崩れずに残る盛り土を撤去する行政代執行を始めた。県条例に基づく撤去命令に前土地所有者が応じないと判断し、県費を投入する。崩落する危険性が高い約1万6千立方メートルの撤去を来年5月末までに終え、来夏の警戒区域の解除をめざす。
行政代執行による土砂の撤去に約4億円がかかるほか、処分場への運搬などに多額の費用が見込まれる。県は今年8月に即時撤去を求める措置命令を出した前所有者の「新幹線ビルディング」(神奈川県小田原市)に全額を求償するが、同社は撤去命令を拒否後、処分の取り消し訴訟を起こすなど支払い請求に応じる姿勢を見せていない。
熱海市の土石流災害では、災害関連死を含め27人が死亡、1人が行方不明になった。被災地では災害対策基本法に基づく警戒区域が設定され、区域内の約200人が避難している。(床並浩一)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル