和歌山市の選挙演説会場で岸田文雄首相の近くに爆発物が投げ込まれた事件で、威力業務妨害容疑で逮捕された木村隆二容疑者(24)は事件当日朝、自宅を出発し、バスや電車を乗り継いで現場を訪れていたとみられることが捜査関係者への取材でわかった。兵庫県川西市の容疑者の自宅から現場までは直線距離で約80キロで、公共交通機関で3時間以上かかる。和歌山県警は詳しい足取りを調べている。
事件は15日午前11時27分ごろ、和歌山市雑賀崎(さいかざき)の雑賀崎漁港で起きた。
捜査関係者によると、事件の約1時間前の同日午前10時半ごろ、同市の南海電鉄和歌山市駅そばのスーパーの防犯カメラに容疑者によく似た男が映っていた。
演説会場の漁港近くに向かうバスは同駅を午前10時37分ごろに出発。県警はこのバスのドライブレコーダーを指定し、映像を確認。容疑者がこのバスに乗ったとみている。
午前11時すぎ、現場から直線距離で約300メートル離れた高台のバス停で、近所の女性が容疑者によく似た男を目撃。その後、複数の防犯カメラに、リュックを背負い、徒歩で移動する男の姿が映っていた。
現場近くの防犯カメラにも姿 事件はその約10分後に
そのうち現場から約100メートル先の消防団倉庫の防犯カメラには午前11時18分ごろ、歩きながら手提げかばんの中を確認する男の姿があった。事件はその約10分後に起きた。容疑者はその場で取り押さえられ、県警は手提げかばんから果物ナイフのような刃物(刃渡り約13センチ)を押収した。
漁港での演説会は当初、午前11時40分から始まる予定だった。自民党が首相の詳しい遊説日程を公表したのは、事件前日の14日夕。容疑者の自宅から漁港まで、公共交通機関を乗り継ぐなどすると3時間以上かかる。県警はこうした経緯や防犯カメラの映像から、容疑者が事件当日、爆発物や刃物を所持しながら公共交通機関を乗り継ぎ、現場を訪れたとみている。
県警は事件後、容疑者の自宅を約8時間半にわたり家宅捜索し、スマートフォンやパソコン、タブレット端末などを押収。首相日程を把握した経緯や計画性の有無についても調べている。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル