会社をクビになった。
そのときの光景を中正司(なかしょうじ)光幸さん(55)ははっきり覚えている。
2019年4月17日の朝、職場に人事担当の3人が訪ねてきた。1人が「あなたを懲戒解雇にします」と言うと、別の1人が理由を書いた文書を読みあげた。「会社秩序を著しく乱すもの」との言葉に「それはあなたたちだ」と反論したが、無視された――。
「会社のリストラは必要だが、社員にも事情はある。邪魔者扱いして放り出すようなやり方は許せない」。中正司さんは憤る。
勤めていたのは、NECの子会社。1990年にIT技術者として入社し、2004年に事務系に移って経営企画などを経験した。16年から別のNEC系企業に出向し、大阪城の近くのビルで郵便物の仕分けなどを担当していた。
解雇の理由は「業務命令違反」。19年4月15日までに川崎市に転勤するよう命じられたのに、大阪の職場に通い続けていた。
中正司さんは大阪府内で一人…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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