父憎む心、母に植え付けられた 過去の愚行を聞かされて

(悩みのるつぼ)相談者

 20代女性です。

 いつも新しい気づきをいただくこちらの欄で、私の相談に乗っていただきたいと思い、メールを差し上げました。どうぞよろしくおねがいいたします。

 父親に対する感情がうまく整理できません。

 私の両親は長らく家庭内離婚状態で、私は母から、父の過去の愚かなふるまいについて一方的に聞かされてきました。なので父親に対して「嫌いだ」という感情を持っています。

 また、日頃の父親の行動や態度も、前時代的な亭主関白を地で行っているように思えて、そのくせに責任感は全くないことも含めて不愉快です。

 その一方で、私自身には父親に可愛がられた記憶があるのも確かなのです。

 小さい頃に欲しいものをたくさん買ってくれたことや、写真をたくさん撮ってくれたことは、父親としては当たり前のことをしただけだったと思います。でも、そうしたことが良い思い出として残っているせいで、父親を憎むことに罪悪感を覚えてしまいます。

 今の私は、母に同調して父を憎むという、自分に関係のない憎しみを抱いている状態だと思います。

 その憎しみを手放したいと思いつつも、父親に歩み寄る気持ちも持てません。私はどのように気持ちの整理をつけたらいいのでしょうか。

回答者 社会学者・上野千鶴子さん

 困った父親を憎めない娘。父親が困った夫なのはあなたの母親に対してであって、あなたに対してではありません。母の憎しみは母のもの。「自分に関係のない憎しみを抱いている」というあなたの自己分析は的確です。

 「過去の愚かなふるまい」って…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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