片桐はいりさんが語るコロナ禍の演劇 「警告なのかな」

 5~6月、完全リモートで演劇作品を作りました。いい面も悪い面もありました。稽古が終わると同時にそのまま自分の生活に戻れて無駄がない。でも演劇も映画も、一緒に現場にいて、ああだこうだ言いながら作っていくもの。私は普段、稽古場ではすごく笑ってるんですけど、笑い声って、「賛成!」「私これ好き!」という意見の表明だと思うんです。

 でも、リモートでは自分の出番ではない時は音声も映像もオフ。一見無駄に見えるコミュニケーションがいかに重要だったか気づかされました。

 本番はオンライン配信でした。もちろん生で見るのとは別物です。以前、一人芝居の舞台で3年ほど全国を回りました。「よく一人でやるね」と言われましたが、一人で芝居なんかできませんよ。お客さんがいるからできるんです。お客さんからの反応や笑い声、波動が芝居をつくる。だから一人芝居を経験したあと、客として観劇する時は緊張するようになりました。だって責任があるから。その日の役者のパフォーマンスを左右するのは観客の一人である私。舞台はその場でできあがるものなんです。

人間は順応していく。だけど…

 緊急事態宣言で休業を余儀なくされたスナックを舞台にしたNHKドラマ&ドキュメント「不要不急の銀河」(20年7月放送)で「大ママ」を演じました。ラストシーンは、でんでんさん演じる常連客の誕生日。休業していた店を開け、カラオケを歌うシーンでした。

 知り合いに、コロナ禍でデイサ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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