長引くコロナ禍や物価高でひとり親家庭などの困窮度が増す一方で、支援団体に企業から寄せられる物資が減り、福島県内で活動するフードバンクなどの支援活動に黄信号がともっている。各団体は個人からの寄付も募り、活動継続に挑んでいる。
「この家は子だくさんだから、お米が一番必要。食用油も値上がりしているから送ってあげたいけど、今回はもう残っていないね」
11月下旬。ひとり親家庭向けのフードバンクを運営するNPO法人「しんぐるぺあれんとF・福島」(郡山市)の事務所で、理事長の遠野馨さん(52)は物資不足に頭を抱えていた。
同法人は県内186世帯を対象に、寄付された米やレトルト食品のほか、生理用品やマスクなど生活必需品を週1回~月1回ほど送っている。送る品や頻度は家族構成や年齢、子どもの人数や困窮度を考慮して変えているという。
長男(19)と長女(15)を育てるいわき市の会社員女性(41)は、本格的な冬を前にして電気代の高騰が悩みだが、1~2週間に一度の頻度で届く支援品に助けられている。「子どもは届けてもらうお菓子しか口にする機会がありません。荷物が到着するたび、とても喜んでいます」
だが、支援の先行きがいま、危うくなっている。
同法人には以前、関東圏の企業などから、お中元で受け取った食品などの寄付が多いときは月50件ほどあった。だが今年は月数件に減り、全国の個人からの寄付でしのいでいる状況だ。
遠野さんによると、米などの主食に加え、毎日のお弁当作りなどに必要な調味料や食用油、たくさんの子どもたちに分けることができる袋詰めのお菓子などの需要が高いが、不足している。活動資金となる寄付金も十分ではなく、送料や段ボールの購入に充てられる予算も限られるという。
「ひとり親家庭が無事に年越しできるよう、物資を送ってあげたい。でも寄付がないと、どうしようもない」。それでもスタッフとともに企業の集まりや献血会場などに出向いたり、SNSを使ったりして、ひとり親家庭の窮状を訴え、寄付を呼びかけている。
支援物資の不足を受けて、福島県フードバンク連絡協議会は大手コンビニと協力して、一般からの寄付を募るフードドライブ活動を始めました。無料で食品などを持ち帰ることができる「コミュニティフリッジ(公共冷蔵庫)」を福島市内で運営するNPO法人チームふくしまは、地域のつながりを生かして物資を集めようとしています。記事の後半では、これらの取り組みも紹介します。
県内でフードバンク活動に取…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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