高田正幸
エネルギー価格が高騰しているのに物流業者が依頼主から得られる運賃は据え置きが続いている実態が、公正取引委員会が1日に公表した調査結果で浮かび上がった。依頼主による「買いたたき」行為は独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」に該当する可能性があるとして、公取委が注意を呼びかけている。
公取委は昨年9月~今年1月、製造業者や卸売業者などの荷主や運送会社などの物流業者に対して取引の実態調査を実施。計7万社に書面調査を実施したうえ、荷主側の101社に立ち入り調査を行った。その結果、独禁法違反につながるおそれがあるとして、計777社に書面で注意喚起したという。
このうち、物流業者と十分な協議を行わずに運賃を据え置くなど「買いたたき」の疑いがあった事例は246件にのぼり、昨年の26件から急増した。約30年前と同じ基準で運賃を定めていたり、「自社の予算」を理由に協議を拒んだりした荷主もいたという。
同様の調査は例年行っていたが、近年のエネルギー価格の上昇などを受け、公取委は今回からコスト上昇分の値上げや値上げ協議が行われているかを尋ねる質問項目を追加。多くの物流業者からコストを運賃に転嫁できていないとする回答が寄せられ、問題が浮かび上がったという。
公取委は1日、2022年度に独禁法に違反した事業者に命じた課徴金は計1019億8千万円にのぼり、過去最高になったとも発表。今年3月、大手電力3社に計1千億円超の課徴金の納付を命じたカルテル事件によるものが大部分だった。(高田正幸)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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