特殊詐欺を疑うも「個人の都合…」 表彰されたローソン店員の悩み

渡辺杏果

 コンビニエンスストア内で特殊詐欺を未然に防いだとして、愛知県警稲沢署は22日、稲沢市の「ローソン稲沢治郎丸店」のパート従業員、大塚泉さん(42)に感謝状を贈った。店内放送で注意を促す特殊詐欺の手口と似ていると感じて、客に声をかけた。

 4月8日の昼すぎ、大塚さんが働く店に80代の女性が訪れた。周囲を見回し不安そうな様子。「何か探されてますか」と声をかけると、2万円分のプリペイドカードを探しているという。

 「家のパソコンがウイルスに感染した。(画面に)書いてあった番号に電話したところ、カードを購入すれば直せると言われた」

 女性の説明に、「もしかして特殊詐欺じゃない?」と疑った大塚さん。「購入をやめて、おまわりさんに相談しませんか」と女性を落ち着かせた。

 感謝状を受け取った大塚さんは「キョロキョロしている人には優しく声かけをしたい」と述べた。

 ただ、心残りもあるという。先週、同じような状況で高齢の男性客にプリペイドカードを販売したことがあった。用途をたずねても、「個人の都合なので」と言われ、押し切られた。同じ日、再び来店した男性が「電話の相手にカードが使えないと言われた」と話したので、大塚さんは警察に連絡。特殊詐欺と分かった。大塚さんは店頭での声かけの難しさを感じている。

 同署は、店員が客に声をかけやすいよう啓発チラシを管内のコンビニに配っている。生活安全課の安達清悟課長は「そんなときには、お客さんにチラシを見せながら話してほしい」と話した。同署管内で1~4月に認知した特殊詐欺は4件。昨年よりも2件多く、被害総額は約166万円になる。安達課長は「ウイルスに感染したという画面が出たら、すぐに強制終了して、載っている番号には電話をかけないように」と注意を呼びかける。(渡辺杏果)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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