生後56日以下の幼い子犬・子猫の販売を禁じる「8週齢規制」などが導入された2019年の動物愛護法改正。環境省は21年、改正法に基づき飼育ケージの最低面積など数値規制を盛り込んだ「飼養管理基準省令」も制定した。めざしたのは犬猫の繁殖・販売業者の飼育環境改善と悪質業者の淘汰(とうた)。規制は順次施行され始めたが、実効性はあるのか。全国の自治体に調査し、販売の現場を取材した。(太田匡彦)
出生日に偏り「こんな偶然あるわけない」
埼玉県上里町の国道沿いに立つ「関東ペットパーク」では毎週水曜日、ペットショップが子犬・子猫を仕入れるオークション(競り市)が開かれる。2月下旬、取材で訪れるとこの日も、約800匹の子犬・子猫が出品されていた。
ローラーコンベヤーで運ばれてくる子犬や子猫がショップのバイヤーたちに披露され、次々と落札されていく。天井からつり下がったモニターには、出品者である繁殖業者名のほか両親の体重や遺伝子検査の結果など子犬・子猫にかかわる情報が表示されている。そのなかで出生日に注目していると、すぐにおかしな点に気づく。
出品される子犬・子猫の6割ほどが開催日の57日前、2割ほどが同58日前に生まれていて、明らかに出生日に偏りがあるのだ。競り市の業界団体「ペットパーク流通協会」の会長も務める上原勝三代表は言う。「8週齢規制にギリギリ引っかからない日に生まれた子が多くを占める。こんな偶然あるわけないと思ってはいるが、(出品する繁殖業者ら)本人たちがそうだと言うなら、何も言えない」
「実効性高い」と回答はわずか2自治体
悪質な繁殖業者やペットショップの改善、淘汰を目的に導入された幼い子犬・子猫の心身の健康を守る8週齢規制と、飼育ケージの最低面積や従業員1人あたりの上限飼育数などを定めた飼養管理基準省令。21年6月から順次施行されたが、その実効性や自治体の現場における運用状況には疑問符がつきまとう。
販売の現場を取材するとともに、朝日新聞は昨年12月、動物愛護行政を担う都道府県、政令指定都市、中核市に調査した(129自治体、回収率100%)。
まず浮き彫りになったのは…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル