「妻の案里を当選させたい気持ちは否定できない。全般的な買収について争わない」――。2019年の参院選をめぐり、地元議員ら100人に約2900万円を配ったとして公職選挙法違反(加重買収など)の罪に問われた元法相の衆院議員・河井克行被告(58)が23日、東京地裁の法廷で、大半への現金供与を違法な買収行為だと認めた。昨年8月の初公判時から起訴内容をすべて否認してきた心境はなぜ変わったのか。この日午前に始まった被告人質問で、克行議員が事件について初めて詳細に語った。
法廷での主なやりとりは以下の通り。
(弁護人)――起訴内容について全て否認して争うとしていたが、今の認否は。
(克行議員)裁判長、おはようございます。今日から被告人質問ということで、改めて自分の考えを整理したので冒頭で述べる。まず、今弁護人がお尋ねの件だが、妻案里と共謀して買収を行ったという点については、全く事実と反しますので無罪を主張させていただく。(自民党広島県参院選挙区)第七支部の職員をはじめとする陣営関係者に差し上げたお金についても、これも買収には当たらないと考えているので無罪を主張する。
――県議、市議、首長、後援会にも供与したとされているが。
後援会の役員の皆様、地方議会の皆様に対してもお金を差し上げたが、一人ひとりにそれぞれ固有の理由や趣旨、事情がある。私自身、あからさまに投票依頼を行ったことはない。その上で、2019年の参院選において、自民が2議席を獲得するという方針を実現するため、(当時現職だった)溝手顕正先生に加えて案里の当選を得たいという気持ちが全くなかったとは言えず、否定することはできないと考えている。一人ひとりにおける事情や理由は各論で詳しく述べるが、すべてが買収目的のみでは断じてないが、全般的な選挙買収について争うことはしない。
――総じて議員と後援会について争わないか。
今の観点で、争わない。
――総括主宰者性については。
公訴事実では総括主宰者だったと断じられている。案里事務所の実態が公示以降どうだったか、これから私が知りうる限りの事実を包み隠さず、法廷で説明する。一方、本来なら自民党県連が果たすべきだった役割を彼らが果たせなかった。それをやむを得ず代行せざるを得なかったのも事実。総括主宰者性の評価をされるのは致し方ないと思っている。今後詳しく実態を説明するのでご判断いただきたい。
――認否を変えたことについて…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル