九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の設置許可の取り消しと運転差し止めを、市民団体などがそれぞれ国と九電に求めた二つの訴訟の判決が12日、佐賀地裁であった。達野ゆき裁判長は「(国の)原子力規制委員会の審査や判断に不合理な点があるとは認められない」として、原告側の請求をいずれも棄却した。
訴えていたのは、市民団体「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」を中心とした福岡、佐賀などの559人。原告側は判決を不服として控訴する方針を示した。
主な争点は、九電が設定した地震の最大の揺れの想定「基準地震動」の適否や、約130キロ離れた阿蘇山(熊本県)の噴火リスクなど。同様に基準地震動の評価が争点となった関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)をめぐる昨年12月の大阪地裁判決は規制委の審査を違法として設置許可を取り消し、今回の判断が注目されていた。
原告側は、原発の耐震設計の根幹となる基準地震動が過小評価されていると主張。計算式で導く揺れの平均値よりも、数値が上に振れる「ばらつき」を考慮するよう求めた規制委の内規「審査ガイド」が守られていないと訴えていた。
だが、判決は、ガイドについて「平均値を修正して地震規模を設定することを求めていると解することはできない」と原告側の解釈を否定。基準地震動の評価手法は「最新の科学的・技術的知見を踏まえた合理的なものだ」と認定した。
阿蘇山については、原告側は「破局的噴火」で火砕流が玄海原発まで及ぶ危険性があると主張したが、判決は「破局的噴火の発生ないし活動可能性が十分に小さいという(九電の)評価は不合理とは言えない」として退けた。(平塚学、山野健太郎)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル