タイ料理を出す唯一無二の「餃子(ギョーザ)の王将」が愛知県にある。経営するのは、王将とともに人生を歩んできたオーナーだ。
名古屋市北西に位置する稲沢市の県道沿いにある「餃子の王将・稲沢店」。緑、オレンジ、黄で縁取られた赤地に白文字の看板がそびえる外観も、店内の床の歩き心地も、おなじみの王将と何ら変わらない。
しかし、テーブルに置かれたメニューには、他の王将では見かけない「サワッディー」というタイのあいさつの言葉とともに、タイ料理メニューが10種類並ぶ。
王将フードサービス広報によると、全国に700店以上ある餃子の王将の中で、タイ料理メニューがあるのは、この稲沢店と、同じオーナーが経営する苅安賀(かりやすか)店(愛知県一宮市)の2店のみだ。
稲沢店のタイ料理メニューの一番人気は「トムヤムクンスープ定食」(税抜き910円)。タイ料理の定番トムヤムクンに、王将の定番、ギョーザとからあげをコラボした一品だ。
パクチーがのった黄色みがかったスープを一口含むと、酸味とスパイシーな風味がまず広がり、ほんの少しの辛みとココナツミルクの甘みが後からやってくる。濃厚な見た目とは逆に、あっさりしていて飲みやすい。大ぶりのぷりっとしたバナメイエビや豚肉、白菜、キクラゲ、ネギなど具材がたっぷり入り、おかずとしてもボリューム満点だ。
セットのギョーザは、当然ながら、食べ慣れた王将の味。特製のマジックパウダーをふりかけたからあげは、一口でご飯が一気に進むいつもと変わらぬあの破壊力だ。
ここまで食べ進めて気づくのは、トムヤムクンとギョーザとからあげが絶妙にマッチして、互いに引き立てあっていることだ。同店のオーナー、大谷尚士さん(53)によると、常連客は、からあげをトムヤムクンに浸して味わう食べ方を好むという。大谷さんは「王将の料理に合うように、何年も追求してたどり着いた味なんです」。
大谷さんは京都市出身。実家は、王将を運営する王将フードサービス本社がある同市山科区西野山射庭ノ上町にあり、小さい頃から王将は身近な存在だった。
「家の近くの道路で遊んでいると、(創業者で)当時の加藤朝雄社長に話しかけられることがよくありました」
大谷さんの両親も加藤社長らと…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル