能登半島地震で大きな被害が出た石川県珠洲市。避難者やボランティアらを受け入れてきた湯宿が、6日から営業を再開した。周りは被災した人たちばかり。宿のあり方もこれまで通りとはいかない。その中で、「リスタート」に込めた思いとは――。
能登半島を北上し、珠洲市上戸町の集落を抜けると、木々の合間から瓦屋根の建物が現れる。
「湯宿 さか本」。客室には、テレビも電話も、冷暖房もない。「いたらない、つくせない宿」と称す。
吹きさらしの洗面所の先は、もみじ林。鳥のさえずりや虫の音、水がわき出る音が聞こえてくる。
坂本菜の花さん(24)は、両親と共にこの宿を営んでいる。もともと祖父母が湯治場を開いていた場所。父の新一郎さんが1989年から始めた宿を引き継いだ。
菜の花さんは珠洲市の小学校に通い、小学6年で和歌山県へ転居。中学の修学旅行で沖縄を訪れたことをきっかけに、15歳から3年間、沖縄のフリースクールに通った。卒業後、地元に戻ってきた。
年末年始は、宿で常連客や友人と過ごすのが恒例行事。今年は東京や九州などから20人近くが宿に集まった。夕食の準備をしていたとき、地震が起きた。
最初の震度5強の揺れでは…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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