能登半島地震で大きな被害が出た石川県珠洲市では、昨年5月にも震度6強の地震があり、今回と合わせて「二重被災」となった家屋は3千棟を超えるとみられることが市への取材でわかった。家屋の修理に取り組む中で再び被災したケースもあり、被災者の心理的、経済的な負担は大きい。資金不足から住宅再建をあきらめる人が多ければ、街の復興は遠のく。
昨年5月、市内家屋の半数以上が損壊
珠洲市には約6千世帯、約1万2千人が生活。市によると、昨年5月5日の地震による住宅の被害は、全壊40棟、大規模・中規模半壊・半壊313棟、準半壊と一部損壊3027棟に上り、市内の住宅家屋の半数以上だった。震度6強を観測したのは珠洲市だけで、周辺の市町よりも際立って被害が多かった。
災害救助法に基づく「応急修理制度」の補助を求める申請は574件あり、468件の工事が完了していたという。仮設住宅にいったん移り、自宅の再建をめざす人もいた。
建物にダメージがあったうえに、今年1月1日以降、最大震度5強の大きな地震に繰り返し襲われた。市は、昨年の地震で被害を受けていた建物のほぼすべてが再び打撃を受け、全6千世帯のうち、4割ほどの住宅が全壊したとみている。
再建を考えた矢先に再び
珠洲市正院町川尻の道心象一(どうしんぞういち)さん(89)は、今回の地震で倒壊した自宅を前に、「住み慣れたここに居続けるのが一番いい。でも先のことは何も考えられん」と肩を落とす。
三男、孫との3人暮らし。父親が建てた築約60年の2階建て家屋は、昨年5月の地震で大規模半壊と判定され、自身は仮設住宅に入った。母屋は大きく壊れ、建て直す計画を立てていた。
そんな中、再び大地震に襲わ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル