現代最高の刀匠の作品がずらり 古代刀剣の復元も 橿考博で特別陳列

清水謙司

 刀剣ファンにも考古学ファンにも刺さるはずだ。奈良県橿原考古学研究所付属博物館(橿考博、橿原市)で開催中の特別陳列「刀匠・河内國平(かわちくにひら)の仕事―古代刀剣復元から現在の作刀まで―」。現代の刀匠として最高位と評価される巨匠の技とプライドが浮かび上がる構成になっている。

 刀匠の家に生まれた河内さん(82)は現在、東吉野村で「鍛刀伝習所」を営む。文化庁長官賞など数々の受賞歴があり、2014年には刀剣界最高の「正宗賞」を受けた。

 河内さんは同研究所(橿考研)とも縁が深い。関西大では法学部の学生だったが、同大の教授だった考古学者・故末永雅雄氏(橿考研初代所長)に師事。古代刀剣に大きな関心を持ったという。

 数々の古代刀剣の復元でも知られ、石上神宮(天理市)の神宝「七支刀(しちしとう)」(国宝)の復元は、代表的な仕事の一つだ。今回、その鍛造復元(1981年)と鋳造復元(2006年)=ともに橿考博所蔵で刃長74・8センチ=を並べて展示。豪華な副葬品で知られる藤ノ木古墳斑鳩町)の飾り大刀(刃長123センチ)=橿考博所蔵=などの復元品も。河内さんは刀身の復元を担当した。

 会場には、最初の作品という1971年の太刀をはじめ、数々の刀や短刀などが並ぶ。末永氏の文化勲章受章を祝って作った太刀もある。そんな中、刃長74・6センチの太刀が目をひく。「令和六年正月元旦」の銘がある最新作。「今一番楽しい」という河内さんが、「待望の出来。やっとここまできたと思ったら82歳にもなっている」とコメントしているのが印象深い。

 ほかにパネルや日本刀の原材料「玉鋼」などの展示のほか、日本刀ができるまでの流れを紹介するコーナーも。

 17日まで。月曜休館。一般400円。問い合わせは橿考博(0744・24・1185)へ。(清水謙司)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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