現場近くの住民からもDNA 「拒否して疑われるの嫌」

 八百屋、酒屋、精肉店など昔ながらの店が並ぶ東京都中野区の商店街。

 この近くのマンションで2015年8月、住人の劇団員の女性(当時25)が殺されているのが見つかった。首を圧迫されるなどした窒息死だった。

 警視庁の捜査で、被害者の手の爪の間から微量の皮膚片が見つかった。襲われた被害者が抵抗した際、犯人の皮膚をかくなどして爪に残ったものとみられる。

 警視庁はこの皮膚片から抽出したDNAを鑑定し、DNA型を検出。このデータは警察庁の「遺留DNA型データベース」に登録されたとみられる。

 事件は発生から約7カ月後、急展開をみせた。

 周辺からいなくなった人物を捜査する過程で、被害者宅の近くから事件直後に転居していた男が浮上。16年2月、捜査員が福島県にいる男を訪ね、DNAを任意で採取した。鑑定の結果、DNA型が皮膚片などと一致。3月、男は逮捕された。DNA型が決め手の一つとなった。

 この事件の捜査で警視庁は商店街や周辺の地域を回り、住民らからDNAの提供を受けた。その数は被害者の知人らを含め約1千人にのぼり、遺留物と照合したとみられる。データベースには登録されていない。

 科学の進歩とともに、DNAを使った捜査は警察にとって事件の解決に向けた有力な手法となっている。容疑者から得たDNA型データベースの登録件数は今や130万件。国民100人に1人の割合だ。「究極の個人情報」とされるDNAやその型の鑑定結果を、警察はどのように扱い、どう運用しているのか。3回にわたり、DNA捜査の実態を追う。

 ある店の男性(51)も店先で…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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