国内外に衝撃と悲しみをもたらした首里城(那覇市)火災から31日で1年になる。現場では再建に向けた準備が始まっているが、今なお、心の整理がつかずに現場に近づけない人がいる。あの日、涙を流した沖縄の若者、遠く広島で心を痛めた女性。それぞれの1年とは。
30日夜、首里城正殿跡から300メートル弱の自宅マンションの屋上で、石崎雅彦さん(72)は1年前に撮影した映像を見返した。
「最後まで威厳のある姿だった」。崩れ落ちる前、骨組みだけとなって炎に包まれる正殿は、闇夜で光り輝いているように見えた。
「最期を見届けねば」と未明から7時間にわたって火災を記録した自宅の屋上は、家を建てるとき、首里城を眺めるために設けた場所だった。近所の人を招いて酒を酌み交わしつつ城を眺めるのが、この上ない時間だった。
自室の窓越しにも首里城が望めるが、この1年、目に入るのは、解体されていく焼け残った建物や、作業場がくみ上げられていく様子。気持ちはふさがり、足が向かなかった。
城は、石崎さんが生まれる3年…
2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル