現金渡した「弟の関係者」の正体は…スマホ画像決め手に

 特殊詐欺の被害者から現金を受け取る「受け子」を務めたとして、警視庁が男(33)を詐欺の疑いで逮捕した。被害者の70代男性が現金を取りに訪れた男の姿をスマートフォンで撮影し、警視庁に相談。警視庁がこの写真を決め手に男を特定した。

 逮捕されたのは、住居・職業不詳の工藤夏樹容疑者(33)。麻布署が16日に発表した。

 署によると、6月9日午後、東京都港区で理髪店を経営する70代男性のもとに電話があった。男性の弟を装い、「お金や携帯電話を入れたかばんをなくした。大事な会議があって、至急お金が必要」という内容だった。工藤容疑者は弟の関係者を装って理髪店を訪ね、110万円をだまし取った疑いがある。容疑を否認しているという。

 署の説明では、男性は110万円を紙袋に入れ、1度は訪ねてきた男に手渡した。ただ、弟との関係や現金の使い道についてあいまいな説明を繰り返したため、不審に思って紙袋を取り返し、直後にスマホで男を撮影。男はすぐに店から逃走したという。

 署は男性から画像の提供を受け、店周辺の防犯カメラの映像と照合。さらに沿道のカメラの映像で逃げた男を追跡し、男が工藤容疑者だと特定したという。署の幹部は「非常に珍しい案件。こうしたこともあり、受け子は必ず捕まる。絶対にやめてほしい」と話した。

 工藤容疑者は署の調べに「知人を通じて書類を受け取る仕事を紹介され、理髪店を訪ねた」と説明。「紙袋の中身は知らず、詐欺とは思わなかった」などと供述しているという。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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