理系から進路変更、音大に 矢沢永吉さんの本からヒント

 年が明け、いよいよ受験シーズンを迎えました。各界で活躍する受験経験者や、さまざまな分野で学びを深めている現役大学生・大学院生たちからの、受験生へのメッセージを随時お届けします。

 名古屋フィルハーモニー交響楽団(名古屋市)の首席打楽器奏者・窪田健志さん(37)は、大学受験の時に学んだ「細かく目標を立てる」ことが今の演奏家生活に大いに役立っているという。受験生だった時を振り返ってもらい、受験生におすすめのリラックスできる曲を教えてもらった。

 窪田さんは長野県上田高校(長野県上田市)出身。理系を選択し、吹奏楽班で打楽器に明け暮れる毎日だった。

 進路を大きく変えることになったのは高校2年生の秋。講習会でプロの打楽器奏者に褒められたことで、「音大に進学してプロ奏者になりたい」と考え始めた。国立でなければいけないという条件から、志望を東京芸大音楽学部器楽科に決めた。

 「スタートが遅れてしまった」ということに加え、大きな進路変更。さらに音楽学部の受験には楽器の実技、楽典などの音楽基礎、音を記譜する聴音、歌やピアノといった必要な練習や勉強がたくさんあり、時間をいかに有効に使うかを考えた。

 成功者にヒントを得ようと、矢沢永吉さんの「成りあがり」やナポレオン・ヒルの「成功哲学」といった本を読んだ。成功するまで何が必要なのか考え、こつこつ目標を達成していくことが大事だと知った。

 「春に合格発表のボードで自分の番号を見つけるためにはどうすれば最短ルートかをイメージし、そこから逆算して細かく目標を立てた」と振り返る。そして、家族や先生、友人の助けを借りながら、がむしゃらに突き進んだことで現役合格を勝ち取った。

 名フィルの演奏会だけでなく、他の楽団から招待されたり、自身で演奏会を主催したりと多忙な日々を過ごす中で、「今でも演奏会をマネジメントしたり、タイムスケジュールを考えたりする際に同じように逆算し、目標を立てています。受験に成功しても、失敗しても、そのプロセスを忘れないことが大切だと思います」と話した。(小原智恵)

窪田健志さんお薦めのクラシック音楽

 フェデリコ・モンポウ「歌と踊り」

 大学時代、楽譜を読んで初見で演奏する「ソルフェージュ」の授業で知った曲です。音楽があっても勉強に集中できる、空気のようなリラックスして聴ける曲だと思います。

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くぼた・たけし 1983年、大阪府豊中市生まれ。中学・高校で吹奏楽部に所属し、打楽器を担当。長野県上田高校卒業後、2001年に東京芸術大学音楽学部に入学。ドラマ「のだめカンタービレ」で演技指導にあたり、ドラマにも出演した。2010年から名古屋フィルハーモニー交響楽団員になり、現在は首席打楽器奏者。

 昨年6月にソロデビューアルバム「Percussion Pieces 1 ‘…from JAPAN’」をリリース。2月27日に収録曲を演奏する「打楽器レクチャーコンサート」を三井住友海上しらかわホール(名古屋市中区)で開く。


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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