戦前の沖縄の人や風景を写した写真165枚が、朝日新聞大阪本社(大阪市)で見つかった。朝日新聞では過去に1935年の沖縄を写したネガが見つかり「よみがえる沖縄1935」として紙面や写真展で紹介したが、今回はさらに古い大正時代の写真も含まれている。戦前の沖縄の写真は戦災で多くが失われ、まとまった形で見つかるのは珍しい。琉球王国(1429~1879年)から日本へと変容していく、沖縄のありし日の姿が浮かび上がる。
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大半が紙焼き写真。時期は確認できる範囲で1921(大正10)~1944(昭和19)年。多くは現在の那覇市とみられるが、石垣島などもあった。撮影者がわからないものも含め、記事の相互提供や人材交流をしている沖縄タイムスと共同で取材した。(真野啓太)
日本との結びつきが強まるにつれ、沖縄の街や暮らしは大きく変わった。今回見つかった165枚の写真には、そんな変化の時代を生きた沖縄の人たちの素顔があった。
王国伝統の「組踊」、昭和天皇の弟に披露か
朝日新聞大阪本社が所蔵する今回見つかった沖縄関連の写真の中には、琉球王国の伝統歌舞劇「組踊(くみおどり)」の写真があった。場所は、明治政府による「琉球処分」(1879年)で首里城を追われた王家が移り住んだ中城御殿(なかぐすくうどぅん)の軒先とみられる。裏に「台覧」(高貴な人が見ること)とあり、昭和天皇の弟で、1925(大正14)年5月に沖縄を訪れた秩父宮に披露された際の写真と思われる。
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演目は組踊の代表作「二童敵討(にどうてぃちうち)」で、2人の少年の敵役「阿麻和利(あまわり)」を演じるのは玉城盛重(たまぐすくせいじゅう)(1868~1945)=写真右端。組踊は中国皇帝の使者を歓待する歌舞劇で、盛重は1866年に琉球が最後に使者を迎えた時の舞台「御冠船踊(うかんしんおどり)」の担当役人の指導を直接受けた一人だ。
戦後沖縄を代表する舞踊家、島…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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