琉球国王を描いた幻の肖像画、米国で発見され返還 沖縄戦で国外流出

小野太郎

 沖縄県は15日、太平洋戦争末期の沖縄戦で流出したと考えられていた歴代琉球国王の肖像画「御後絵(おごえ)」が米国で見つかり、県に返還されたことを明らかにした。戦後、御後絵の実物が確認されたのは初めて。琉球王国を代表する貴重な文化遺産で、美術史・文化史を研究する上で重要な手がかりになるとみられる。

 引き渡された御後絵は6点(3点は一つの作品が分割されたもの)で、うち2点は第13代尚敬(しょうけい)王(在位1713~1751年)と、第18代尚育(しょういく)王(在位1835~1847年)を描いたもの。大正時代に撮影されたモノクロ写真は残っていたが、今回初めて実物の色彩が確認された。御後絵は琉球王国の絵師により、権威を示すために国王の姿が大きく描かれている。県の担当者によると、首里城北側にあった王家の菩提寺・円覚寺の壁面に描かれていた肖像画を保存のため写したものとみられるという。

 県は2001年、沖縄戦の混乱に乗じて持ち出された可能性のある御後絵などを米連邦捜査局(FBI)の盗難美術品リストに登録した。23年に22点が発見されたと外務省を通じて連絡があり、県が高解像度の画像などで確認。今月14日に引き渡しが実現した。

 玉城デニー知事は15日の記者会見で「琉球王国時代を肌で感じることができる沖縄の宝が戻ってきたことは大きな喜びだ」と述べた。県は今後、損傷の状況を見極めながら一般公開するか検討する。(小野太郎)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment