琵琶湖の湖魚を代表するアユの1月の漁獲量が平年の約3%にとどまり、記録が残る2009年以降で最も少なかったことが、滋賀県の調査でわかった。昨夏の猛暑により産卵が少なかったことなどが原因とみられるという。県内の漁業関係者は「ここ半世紀にない事態」と危機感を募らせる。県は追加調査をして原因を調べている。
アユは琵琶湖全体の漁獲量の約半数を占める。毎年12月からアユの稚魚「氷魚(ひうお)」の漁が解禁され、この時期は伝統漁法のエリ漁で氷魚を取っている。
県によると、各漁協が設置するエリの約半数にあたる14カ所で氷魚の漁獲量を調べたところ、1月は1カ所あたり平均4・3キロ。14年から10年間の平均漁獲量149キロの2・9%にとどまった。産卵が多すぎたことによる成長不良で、記録的な不漁だった17年の6・5キロを下回った。
県によると、昨年は9月まで猛暑が続いた。アユの産卵期となる9~10月、琵琶湖に流れ込む河川の水温は、平年より2度高い24度だった。
高温や少雨で川の水量が減り、昨年8~10月に確認された産卵数が平年の2割程度にとどまったことが、漁獲量の激減につながったとみている。
ただ、今年1月に水産試験場が調べた魚群数は、平年の2割程度だった。漁獲量がそれを下回っていることから、追加調査で原因を調べているという。
また、琵琶湖では昨秋から水位低下が続き、今年1月、18年ぶりに県渇水対策本部が設置された。県は渇水と不漁の因果関係は現時点で不明としている。
三日月大造知事は20日の定例会見で「漁業者から、水位低下でエリ周辺の水の流れが変わり、アユがこないと聞いている。極端な不漁で動向を注視している」と話した。
県によると、不漁のため各漁協はアユ養殖業者からの注文量を満たせず、小売店や飲食店への出荷も滞っているという。
県内最多の12カ所のエリを設置する志賀町漁業協同組合(大津市)の漁師は「四十数年やっているが、これまでにない経験。需要に応えられずに申し訳ない。採算が合わず、休漁する漁師もいる。今後も続けば生活は非常に厳しい」と話している。(林利香)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル