大蔦幸
琵琶湖の「ニゴロブナ」を使った鮒ずしで有名な滋賀県。しかし、同じく琵琶湖で捕れるある外来魚を使った珍しい料理があるという。その名も「バス天丼」。バスって、もしや……。
琵琶湖で小型の在来魚や稚魚を食べて問題の「オオクチバス(ブラックバス)」だ。バス釣りブームで、1970年代に琵琶湖にも持ち込まれ、80年代に急激に増加した。85年から県が駆除対策事業に乗り出した。県水産試験場が推定したオオクチバスの生息量は、2007年に約440トンだったが、20年には、約230トンとほぼ半減している。
県立琵琶湖博物館(草津市)では、下処理した琵琶湖産のオオクチバス料理を館内のレストランで提供し、駆除の一助となってきた。オオクチバスは、皮のぬめり部分に臭みがあるとされ、提携している漁協で皮を取り除き、下処理した切り身を使っている。同館で人気だったメニューが、「バスバーガー」。オオクチバスの肉厚な切り身を使い、フィッシュバーガー風に仕上げたもの。しかし、駆除が功を奏し、バーガーに使えるサイズのオオクチバスが捕れなくなり、最近は、提供されなくなったという。
「バス天丼」のお味は?臭みはなく、自家製ハーブ塩がきいた白身はほろほろと軟らかい。同館レストラン「にほのうみ」の奥長浩店長(51)によると、オオクチバスと知らずに注文する客も多いとか。料理を出す際、「オオクチバスを使っています」と説明すると、「え?」とたいていの客が困惑する。ただ、食べた後は「こんなにおいしいとは」と驚く人が多いという。
「いつか、バス料理を提供しなくなるのが夢です」と同館特別研究員の中井克樹さん(61)。バス天丼は、税込み1200円で食べられる。(大蔦幸)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル