福岡県田川市は10日、新型コロナウイルスワクチンの接種で不適切な事例があったと発表した。厚生労働省は通知で、ワクチンは1瓶から5回分を使い、残りは廃棄することを求めているが、市は残液を集めて6人に接種していた。
市は6日から65歳以上の住民を対象に集団接種を開始。8日夕、接種に訪れた人数に対して、当日のワクチン量が不足すると誤認。市職員である看護師の責任者の指示で、5回分を使った後の数本の瓶から注射器で残液を吸い取り、規定量の0・3ミリリットルを6人に接種した。
この間、ワクチンの不足について連絡を受けた担当課長の指示で、別室の冷蔵庫で解凍中だった翌日分のワクチンを室温で戻し、希釈して使うはずだったが、連絡が徹底されず6人への接種が行われたという。
翌日、5人分の薬液が入った未使用の1瓶がケースに残っていたことが判明。さらに、8日に1回分の薬剤を入れた注射器のキャップを外す際、誤って針も外れてしまい廃棄していたこともわかった。
市は9日、問題の接種を受けた6人に謝罪。体調に異常は確認されていないという。再発防止策として、市は薬液の充塡(じゅうてん)を接種ブースから離し、専任の看護師を配置するとともに残液の利用は厚労省から推奨されていないことを周知するとしている。
記者会見した二場公人市長は「6人には大変申し訳ない。こうしたことが二度と発生しないようにする」と述べた。(遠山武)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル