岩手県花巻市の民家の裏で2021年3月、男の赤ちゃんの遺体が見つかった。殺人と死体遺棄の罪で起訴されたのは、この赤ちゃんを出産した女性(32)だった。
望まない妊娠、出産――。盛岡地裁で行われた裁判員裁判では、事件に至るまでの女性の心境がインターネットの検索履歴からも浮かび上がった。たとえば、出産をひと月後に控えた20年9月。
弁護人「『岩手 児童養護施設 新生児』と調べたのは」
被告「そういう施設なら預かってくれるかもと思いました」
弁護人「検索の結果は」
被告「盛岡市の施設が1件出てきてホームページを見たけど、預け方が見つかりませんでした。それで閉じました」
そしてその3日後、女性はこう調べていた。「子供 捨て方」
裁判では、生まれた子の父親が誰なのか「分からなかった」ことも明かされた。警察の捜査によって特定された「父親」は、事件を知って何を語ったのか。
検察の冒頭陳述や弁護側の被告人質問などから、事件の経緯をたどる。
女性は高校を卒業し、県内の…
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きょうも傍聴席にいます。
事件は世相を映します。傍聴席から「今」を見つめます。2017年9月~20年11月に配信された30本を収録した単行本「ひとりぼっちが怖かった」(幻冬舎)が刊行されました。[記事一覧へ]
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル